今回はParsingを使うことによる効果算定方法についてまとめたいと思います。
まず貴社がどういう目的でParsingを使うのか、というところで効果算定方法が変わってくるのですが、今回は人材紹介会社における効果算定を考えてみたいと思います。
世界で最もParsingを利用しているのは「人材紹介会社」になります。 欧米の人材紹介会社でコンサルタントが10人以上いるエージェントであればまず間違いなくParsingを活用しています。
これはそれだけParsingが海外では普及している証明なのですが、彼らが利用する目的は以下に大別することができます。
(a) 求職者のデータ登録のための時間とコストの低減
人材紹介会社は求職者のすべてがわかっていないといけません。希望勤務地や希望給与は当然ながら、むしろ学歴、職歴、経験、スキル、こういった情報を細かく把握することで、求人とマッチングさせ、最適な人材を推薦することがそもそも人材紹介会社の仕事なので、これは至極当然のことになります。
問題は、この求職者の情報を入力する手間です。
例えば大学だけ入れて、学部までは入れないとしたらどうでしょうか?
もしも求人側が、「大学はともかく理系出身の人が欲しい」という希望があった時に、正しく最適な人材を効率よく見つけることができるでしょうか?
過去の職歴や経験業種を登録していなければ、どうやって「製薬業界経験者を探しています」という求人企業の要求に応えることができるでしょうか?
スキルとして求職者の技能が登録されていなければ、どうやって「営業経験者」を見つけることができるのでしょうか?
単に「営業」というキーワード検索では、その方の履歴書に
「私は営業が得意ではないので、技術系の仕事を選択しました」という記述があっても、その方は検索で引っかかってします。
何が言いたいかと言えば、求職者の情報が細かく構造化された状態で登録がされていればいるだけ、検索の精度が上がってくるということをまずはご理解いただきたい、ということです。
地道に人材紹介事業を手掛けている会社であればあるほど、求職者の情報を細かく登録しています。
問題はそのための工数です。
私も人材紹介経験者で、いったい何人の履歴情報を自社のシステムに登録したかわかりませんが、とにかく履歴書と職務経歴書を読んで、丹念に情報を入力するのですが、かなり急いでも一人15分はかかりました。
また、私はIT業界経験なので、そういう求職者の職務経歴書はスラスラと読めるのですが、不慣れな業界だと、いったいその経験がスキルなのかどうかがわからないので、wikipediaで調べながら登録する必要があったので、かなりの時間がかかっていました。
当時、私がいた会社では、1週間に10人と面談をしましょう! というKPI(目標)がありました。
つまり1ヶ月だと40人~50人です。
これはあくまでも実際に面談をする人の数なので、集める履歴書はもっと多くなるのですが、それを言い出すときりが無いので、今回は省きます。
1人あたり15分かけて月間40人の情報を入力するとなると600分ということで、つまりは10時間、ということになります。
コンサルタントの1ヶ月の就業時間は、8時間 x 22日 = 176時間しかないのですが、そのうちの10時間は成約につながらないデータ入力に使われている計算になります。
こんな無駄なことをコンサルタントにはさせられない、ということで、多くの人材紹介会社では派遣やアルバイトさんに入力をしてもらっています。
10人のコンサルタントがいる紹介会社だと月間に400人の情報を入力する必要があり、それは6000分、つまりは100時間になります。
ただし派遣の方やアルバイトの方は、業界知識が無いので、スキル登録に関しては再度現場のコンサルタントがチェックする、というやり方をされているケースが多いようです。
いずれにしても時給2000円で来てもらっている入力のアルバイトさんを毎月100時間利用する、ということは、それだけで月間20万円のコストが発生しています。
このコストは必要経費とあきらめていませんか?
そしてアルバイトさんは業務経験が無いので、スキルチェックは現場のコンサルタントの時間を使っていますし、登録が多い週末は会社は休んでいるので、アルバイトさんが月曜にデータ入力をしても、件数が多いと登録が完了するのは翌週後半、ということもあり得ます。
この時間ロスで優秀な求職者を同業他社に取られていませんか?
Parsingを利用すると、一人当たりの処理時間は平均7秒です。
土日も無いですし、休暇も取りません。
業界ごとのスキルマスターがあるので、現場がスキル抽出のチェックをする必要もありません。
そして月400枚程度の処理であれば、コストは5万円で済みます。
(b) 検索精度向上効果
上でも触れた通り、求職者の情報が細分化された状態で登録されていればいるだけ、検索精度が向上します。
つまり先に書いた「私は営業が苦手なので、技術系の仕事を選択しました」と書いた求職者は、コンサルタントが「営業経験者」と検索をしても出てこないので、検索効率が格段に改善されます。
またこれはDaxtraの特長ですが、検索する経験やスキルの評価点が高い人から表示されるので、つまりは最初に良い人が出てくる、ということになります。
私も経験がありますが、検索をすると200人くらい対象者が出て、何時間もかけて見ていった結果、198人目にかなり良い求職者を見つけたが、その時には終電が出ていた・・・なんていうことはそれほど珍しいことではありませんでした。
このような無駄な残業が減るという効果以上に、検索精度が上がるということは、すなわち成約の可能性が上がる、ということです。
1ヶ月に3人しか決められないコンサルタントが4人決められるようになったら、どういうことになるか、わかりますよね?
コンサルタントに払う給与(固定部分)は3人成約でも4人成約でも変わらないので、成約が3人から4人になるということは、会社の利益がそのまま25%改善されます!
以上、駆け足で解説しましたが、人材紹介会社がParsingを利用する効果はコスト削減と成約率の改善の2つが見込まれる、ということです。
あと2つのパターン(貴社が転職サイトの場合と事業会社人事の場合)は次に触れたいと思います。