Daxtraブログ:日本の転職事情 (世界のガラパゴス)

さて、2回シリーズで日本の人材市場の特長について解説をしていきたいと思います。

 

早くParsingが何なのかを説明して!

 

と思われる方々も多いと思いますし、私もそこに一刻も早く踏み込みたい気持ちは山々なのですが、そもそもなぜここまで「Parsing」という技術が日本に存在しないのか? という部分をしっかりと説明をしておきたいと思います。

どうしても先にParsingとは何なのか?を知りたい方々は、まずは弊社のWebサイトにお越しください。

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まず、これはかなり重い話になるのですが、そもそも日本の転職事情というのは世界とかけ離れた形で存在し、そして独自の進化を遂げてきました。

海外では以前から「転職」という行動は自分のキャリアアップのための一つの手段として理解されています。 むしろ社内での昇進などよりも、転職によって自分の考えるキャリアを形成する、という考え方の方が一般的とさえ言えます。

もちろん海外の会社でも勤続年数20年、などという方もたくさんいますし、長期勤続者を表彰する制度を設けている企業もたくさんあります。

しかし、それはリテンションのための企業が提供する従業員向けのサービスの一環でしかありません。

しかし日本では長らく、国を挙げて「終身雇用」を標榜し、入社したら定年まで会社のために滅私奉公するのが従業員の務めであり、転職という手段は=出世に負けた人が取る行為、という極めてネガティブなイメージが全体を支配していました。

「あそこのご主人、会社辞めたらしいわよ…」

などと近所の有閑マダムたちの格好の話題になっていたものです。

したがって人材業界側が良い候補者を集める方法は、

(1) 自分がすでに良く知っている人を動かす

(2) 求人サイトなどに登録をして、自ら求人に応募をしてくる人を推薦するか、しないかを判断する

などに限られてきます。

典型的な例として面白いのが、日本の会社は求職者(応募者)が、なぜ前職を辞めたのか、あるいはなぜ今回応募をしたかを非常に気にします。

それはつまりは積極的にキャリアアップとして転職を目指す人が少ないため、何か悪いことをして前の職場を追われたのではないか?ということを気にするからです。

もちろん海外でも採用する可能性が高まると「リファレンスチェック」と言って、その方の前職での働きぶりなどが本人が面接時に言っていることと相違ないか、という確認はすることもありますが、日本が気にする退職理由の確認とは少し意味合いが違います。

いずれにしても日本型の終身雇用の世の中の場合は、どうなるかと言いますと、履歴書や職務経歴書から良い人を探す、という行為自体にあまり意味がなくなるわけです。

ここが世界と大きく違う点で、日本独自の転職市場形成になっていきます。

海外では転職も一つのキャリアアップの手段として認められているので、人材業界側はとにかく一枚でも多くの履歴書を入手し、求人に見合う(合致する)候補者がいれば、今転職活動中かどうかは関係なく、求人の魅力や価値などの話をして、本人がその求人に応募をするように説得するのが重要な仕事となります。

したがってかなり早い段階から、求職者の履歴書というものがコンサルタントにとっては重要な書類であり、そこに書かれている本人のスキルや経験をしっかりと理解して、それに合った求人をいち早く紹介することがコンサルタントが成約を勝ち取るための最短距離となります。

ところが日本の場合は、いくら求人要綱と合致した人がいても、転職をする可能性が低いので、そんな人の説得に時間をかけて、結局無駄足になるよりも、求人サイトで応募してきた候補者をどんどん面接に送り込むほうが成約しやすい、ということになります。

長々と書きましたので、今日はいったんここで終わりますが、つまり今回お伝えしたかったのは、日本では求職者の履歴書というのは、面接時の際に手元資料として用意すべきものであり、そもそも推薦をするかどうかの選定のためのものではなかった、ということです。

思い当たる人材コンサルタントはたくさんおられると思います。

しかし、昨今は日本もようやく「転職」という行為が解放され、世界と同じ程度社会認知されるようになってきましたよね。

昨今、テレビでも転職系のコマーシャルのなんと多いことか!

では、そんな今の状況で日本での履歴書の価値は上がっているのでしょうか?

それを次回、書きたいと思います。

ではでは!