人材紹介会社は新卒採用の時など、コンサルタントを募集する際には
「企業と人の出会いを創造する仕事です!」
とか
「新しいチャレンジを応援する仕事です!」
みたいな、格好良いイメージを醸しだそうと躍起になっていますが、
結局はビジネスとして見れば、月間に何人の推薦者が内定をもらい、何人が入社するか、がすべてで、仕事としてはそれ以上でもそれ以下でも無いビジネスです。
自分が紹介した人材が入社後に大活躍をしようがしまいが、それによって会社が受け取る手数料は変わらない、というのがポイントです。
ある意味ではとてもシンプルなビジネスですし、製造業と違って設備投資もほとんど無いので、誤解を恐れずに言えば、誰でも手軽に始められるビジネスです。
ただ、それは裏返せば、生き残るのがとても大変なビジネスでもあるのですけどね。
参入障壁が低いものほど、実は良いものしか残っていかないものです。
その中で、非常に特長的なのは、人材紹介というビジネスは、同じ案件が絶対に2つとして無いということです。
例えばコピー機などの事務機を売るビジネスだと、お客様は千差万別でも、売る機械の性能自体は一律です。
この会社では頑張って1分間に100枚印刷するが、向こうの会社では1分間に50枚しか印刷しない、というコピー機はありません。
つまり
お客様(N) 対 商品(1)
という関係なので、売る方からすればうまく行ったケースと同じ資料を使って、同じ営業トークで、同じ売り方をしていれば結果は出るのですが、人材紹介の場合、うまく行ったからと言って、同じ求職者は二人としていないので、
お客様(N) 対 人材(N)
というとても難易度の高いビジネス構造になります。
こういう場合は、ある程度ズームアウトして、統計的に管理をする必要があります。
・・・・いけない、いけない、今日はこの話をしたかったわけではありませんでした。
人材紹介のマネジメントに関しては、またいつの日か触れたいと思います。
今日、お伝えしたいのは
「求職者情報共有の大切さ」
です。
実際に現場に立って、企業と折衝し、また候補者を見つけてきて、求人への応募承諾を取りつけてくるのは、いわゆる「コンサルタント」と言われる人たちです。
紹介会社によっては企業と求職者の両方をコンサルタントが対応する、いわゆる360型と、企業と求職者は別々の人が担当する分業型に分かれることがあります。
どちらにも良い面と効率の悪い面があると思いますが、えてして外資系は360型が主流(というか、分業制を取っている外資系の紹介会社を私は見たことがありません)で、日系は分業型が主流のようです。
いずれにしても、より多くの内定者を出して、その方々が入社することで手数料が会社に入ってくる、という構造は同じです。
人材紹介会社の責任者をしていた時の話ですが、いろんな苦労がありました。
今日はその中でも苦労した2つのことを書きたいと思います。
まず一つは、求職者を共有する重要性を現場のコンサルタントにいかに理解してもらうかということです。
コンサルタントからすれば、自分が苦労して見つけてきた優秀な候補者は、もちろん自分で決めたい人材なわけです。
コンサルタントは歩合制なので、わざわざ自分が見つけてきた優秀な人材を、他のコンサルタントが他の求人案件で決めてしまえば・・・
会社と同僚は儲かっても、自分には何一つメリットは無いですからね。
ということは、何が起きるかと言うと、コンサルタントはその候補者をシステムに登録することを嫌がります。
自分の求人案件で決めたい、ということで、その候補者の履歴書は机の中にしまっておいて、共有されないことになります。
もちろん、その求職者がすんなりと決まれば良いですが・・・残念ながら決まらなかった時には、優秀な求職者という資産が会社に残りません。
そして何よりも、もしかしたら自分の求人案件よりも、隣のコンサルタントが持っている求人を紹介してあげたほうが、その求職者は幸せになるかもしれない、という可能性を奪ってしまっているのです。
冒頭に書いたように
「新しいチャレンジを応援する仕事です!」
とか言っておきながら、実際には多くのコンサルタントは求職者を自分の営業のための道具としか見ていないことが起きてしまいます。
先に、しらっと書きましたが、会社としては誰が決めても同じ成約1件なので、求職者はコンサルタント同士で共有してほしいのですが、コンサルタントからすると、なかなかそうは行かないのです。
もちろん、良い求職者を共有することで、逆に自分が得をすることもあるのですが、扱う商材が機械ではなく人間なので、そこにはコンサルタント同士の、あるいは求職者との感情が交錯するので、現場はそんな簡単には行かないのです。
とくに私の場合は、海外での経験だったので、コンサルタントは日本人だけでなく外国人も多数いました。
はっきり言って「お互い様精神」が人間としての基本スペックに入っているのは日本人だけで、外国の方々はもっと個人思想が強いので、候補者の共有なんていう発想は相当教え込まないと身につきません。
実際に、同僚が見つけてきた良い求職者の情報を他社に流して、その同僚が成約するのを妨害した、なんていう事件も(お恥ずかしながら)ありました。
同僚が高成績を上げ、その結果として自分の社内の評価が下がるくらいなら・・・
ということを考えるのが海外の方々です・・・。
日本もこれからますます外国人の就労者は増えざるを得ないわけで、そういう意味では外国人コンサルタントも増えていきますので、こういう外国人コンサルタントのマネジメントも、単に対岸の火事と言っているわけにもいかなくなってくるかもしれませんね。
(また話が逸れました・・・)
ということで、海外では、コンサルタントに候補者情報をシステムに登録させ、社内で共有させるという方法が進まず、結果としてParsing技術を使って、コンサルタントが何もしなくとも(半強制的に)すべての候補者はシステムに登録をする、という形が定着したわけです。
副産物しては、コンサルタントがパチパチ、候補者情報を入力する時間もコストも省けるので、今や海外で一定規模以上(コンサルタントが10人以上)の紹介会社であれば、まず間違いなく、Parsing技術を利用されています。
当時、私は日系の紹介会社にいて、このParsing技術の存在を知らなかったことが今にして悔やまれます。
もう一点、苦労したのが、
推薦をしない候補者情報の登録です。
ある求人に候補者を推薦する場合、例えば10人と面談しても推薦に至る比率は半分程度ではないでしょうか?
書類を見ただけで、面談までも行かなかった人を考えると、この比率はさらに下がります。
そうなると面談や推薦まで行かない候補者は、その先の面接進捗の管理は必要ないので、システムに登録しない、ということが起きます。
確かにその方々は、今の求人には向いていないかもしれませんが、しかし他の求人にはピッタリ、という可能性はいくらでもあります。
そういう方々がシステムに登録されていれば、会社として成約する確率が飛躍的に向上するのですが・・・コンサルタントも忙しいので、現実は非常に大切な会社の資産が消えてしまっています。
これもParsing技術が海外で定着した大きな要因です。
Parserは、例えば求人サイト経由で求人に応募があったり、会社にemailで履歴書が添付されて送られてくると、コンサルタントが受け取る前の段階で、強制的にParserエンジンに送られ、面談するしない、推薦するしないに関わらず会社の資産としてシステムに登録されています。
コンサルタントが履歴書を机の引き出しにしまおうが、すでに共有されている、
というわけです。
これも同様に、当時私がParsing技術を知っていれば・・・
と今にして悔やむばかりです。
長くなってしまいましたが、皆様の会社はどうですか?
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