RecTech(採用テクノロジー)の台頭によって、より人間関係が重要になってくる

Candidate skills board

自動化が進むことで、人材コンサルタントにはより高いスキルが求められるようになる

Daxtra Technologies、マーケティング ディレクター、クリス・ワトソン氏

すでに金融業や医薬業界などで広く進められている業務の自動化が今や人材紹介業界にもやってきたことは火を見るよりも明らかです。
さぁ、いよいよ煩雑で時間ばかりかかる事務作業が自動化ツールによって代替されるデジタル社会2.0の到来なのです。

ただ正直に言えば、この手の話はもう聞き飽きました。とにかくそこらじゅうでAIが人材採用業務に与える影響について話したり書いたりしています。実際、とりあえでいろんなブログを読んでみれば、誰もがまもなくAIが人間に次に何をするべきか、という指示をするような時代がそこまで来ているという気になるはずです。

しかし私が働いているDaxtraではまったく逆の認識をしています。 つまり自動化によって、人材業界のコンサルタントはより高度なスキルを求められるようになります。

なぜか?
テクノロジーで億万長者となった実業家のマーク・キューバン氏が2017年にAOLに語って世間を驚かせた次の表現が最もそれを表していると思います。
「みなさん、予言しましょう。 10年後にはコンピュータのプログラミングの学位よりも、哲学科の一般教養の学位のほうが価値あるものになっているはずです」

なぜ? どうして? IT主導の今日においてはプログラミング学位を持っている人のほうが企業では重宝されるのでは?と思われるのも当然ですが、キューバン氏によれば「人工知能によってこれから始まるのは自動化の自動化です。 我々人間がしなくても良いこと、つまり何を自動化すれば良いかを人工知能はこの先10年から15年で自分で判断ができるようになります。」

つまりは物事を(ロボットのように機械的にではなく)多面的に分析したり、あるいは直感的に判断したりなどのいわゆる人間にしかできない思考がこの先はより重要になってくる、ということを表現しているわけです。
プログラミングは人工知能が代替できますが、人工知能がいかに発達し、究極的には自分自身すらも自動化してしまう中で、最後まで哲学的な思考は持てないので、最終的にはその学位のほうが貴重になってくる、という比喩なのです。

履歴書の行間を読む

履歴書の行間を読む

人材紹介業界では、この先ますます、いわゆる「履歴書の行間を読む」というスキルが要求されていくと思います。
コンサルタントはチェックボックス型のスキルシートや、より細分化されたスキル分類表ではなく、そのCVを定性、定量の両面から総合的に求職者を評価できるスキルが必要になります。
もちろんコンピュータのツールはその求職者がその求人に求められている要件(スキルや学歴など)を有しているかを書類上の記載事項で適切に判断はします。そしてそのツールは不満を言うことなく、繰り返し繰り返し、その作業を淡々と行ないます。

しかしその先が問題なのです。
「最適な一人に絞り込む」という極めて主観的でかつ人間的な判断をしなければならないのですが、人工知能がいかに発達しても、人間の直感から導き出された繊細な判断を代替することはできません。

「あの候補者は書類上では完璧だったのに、会社に馴染まずに辞めてしまった」このような経験は多くの方があるのではないでしょうか?
データでは読み取れない判断をする、これはまさに人間しかできないことです。
そしてまさにこれを、従来の煩雑な事務作業をAIにやらせることで空いた時間を活用して人材紹介コンサルタントは身につけなければならないスキルなのです。

求職者の適性を判断する

履歴書を読み込んでいく中で、そこから求職者の性格や社会性なども評価する方法をコンサルタントは習得しなければなりません。
この求職者が、このポジションや、その会社に適正かどうかを判断するサインが行間に隠されています。

紹介がうまく行った典型例を紹介しましょう。 多くの場合、その求職者は書類上ではほかの求職者と比べて経験などの点では劣っていることが多いです。 しかしコンサルタントが面談をした結果、この求職者は大変に外交的で行動力があり、それはまさに求人企業が望んでいた人物像であり、また考え方なども求人企業と相性が良さそうだと判断して推薦した結果、大変に良い結果となることが多いです。

このようなことが起きる根底には、書類上の条件で劣っている求職者は、より採用されたい、という熱意から活発に質問をし、それがコンサルタントには前向きとう映ったり、より経験豊富で高学歴の求職者は、過去の実績に甘んじてあまり活発に質問をしないことで、身構えている、というイメージに映ることがあります。

ただこのような求職者の行動や態度を企業文化とマッチングさせる機能は人口知能には(少なくとも2018年の現在は)無いので、人間だけが本当に最適な候補者は誰なのかを決めることができます。
したがって人材紹介コンサルタントは、単純なスペックマッチングではなく、この人物評価によるマッチングの能力を高めることが今後は重要になってくるわけです。

求職者を読み込む

真の人間関係の醸成

人材紹介コンサルタントは、今後求職者のより人間に近い領域にまで踏み込んでいく必要があるため、今後はもっと社外に出て、求職者と接し、真の人間関係を構築するための時間を確保する必要が出てくるでしょう。

もはや人材紹介コンサルタントは会社のデスクに座ったままで、ただ良い候補者が向こうから登録してくるのを待っているだけでは通用しなくなります。
加えてLinkedInなどの様々なデジタルな経路によって、より容易に求職者は自ら企業と接点をm津音が容易になっていますので、ますます人材コンサルタントにとって求職者が重要な存在となっていきます。

優秀な求職者の心に残り、頼りにされる存在になることがコンサルタントの重要な責務となります。
求職者をより知るために時間を割き、彼らのモチベーションや目標などを理解し、親睦を深め、仕事が進むようにあらゆる協力をし、そして求職者が転職を意識した時に真っ先に声をかける存在にならなければならないのです。

このような真の人間関係は、コーヒー一杯を共にしたり、求人があった時にだけ声をかけるような対応では醸成されません。
継続的に求職者に、個人的なコンタクトやあるいは求職者が興味をひくようなアイデアや業界情報の提供などを継続的に行うことで醸成されて行くのです。

このような関係を持続させることは人材コンサルタントからすれば、間違いなく先行投資になります。(結果は後からついてくるので)
しかしながらこれだけ業界内で競争が激しくなっていくなかで、求職者や求人企業とこのような関係を構築していくためには、他の安易な抜け道はないのです。

もちろんインターネットに広く情報を拡散して、最適な求職者が奇跡的に向こうからやってくる、ということが全くないとは言いません。
が、しかしそのようなやり方は、今日のデジタル社会においては優秀な求職者には響きません。

マーク・キューバン氏の言葉が100%正しいと言うつもりはないですし、また今後はどんどん哲学科の新卒を採用しろと言いたいわけでもありません。 しかし確かなことは、今後ますます先進的なIT技術のニュースがメディアの見出しに踊る時代になっていくにつれ、むしろ人間同士の直接的な関係が人材採用においては重要になっていく、と言うことです。