採用関連システムの変革者:それは新しい挑戦者ではなく、既存の人材紹介会社である

DaXtra Technologies AsiaのCEO、Sergei Makhmodovは主張します。

「人材紹介会社は技術革新に乗り遅れているのでしょうか? いいえ、実際、彼らは採用における技術革新を推進しています。」

テクノロジー業界で働いていると、しばしば新製品がどのように生まれるのだろうかと疑問に思う人々に遭遇します。まずテクノロジーの天才の頭にアイデアが浮かび、そして何ヶ月かの開発の後に現状をすっかり変えてしまうようなソリューションが生まれると思う人と長年の厄介で高価な研究や開発の最終結果であると考えている人もいます。

いずれのケースも起こりえるのでしょうが、しかし実はほとんどの場合は市場からの声(反応や要望)が、その新製品を生み出すきっかけになっているのです。

人材採用において、この市場の声というのは何を指しているのでしょう?

それはまさにこの業界に長く、そして優雅に過ごしている人材紹介会社に他なりません。

近年、ブロガーたちの間では人材紹介業は今後ゆっくりとではあるが、無くなっていく市場であろうとささやかれています。これはおもに高い人材紹介手数料を払いたくない社内採用担当者やNetの転職サイトやLinkedInがまもなく人材紹介会社を倒産させてしまうだろうと主張するInternet崇拝者たちが数年前からささやいているわけです。

しかし実際には人材紹介会社はほとんどがいたって元気です。

確かにこの採用関連市場はInternetが支配するには十分に適していますし、良い候補者を見つけるための新しい方法を多くの企業が必要としています。

「必要は発明の母」という古い諺の通り、より付加価値の高い方法を多くの企業が望んでいるということは、新しい技術革新が生まれるためのまさに原動力になっています。 これが現在、古典的な人材紹介企業がおかれている現状であることは間違いありません。

しかしながら、ベストな人材を見つけるというのは実はかなりの難易度があります。

Internetは誰もが同じ情報を持てることを保証しており、採用のための様々な情報は一般化され、紹介するための条件が均一化されてしまいます。つまりほかに知られていないような情報を獲得することが非常にむつかしくなるわけです。

これが人材紹介会社が生き残っていくために守っている砦になっています。

彼らはどうやってこれをやっているのでしょうか? 一つには最新の検索技術を同業他社に先んじて導入することです。 それによってコンサルタントの手作業を減らし、その分、より顧客企業や候補者と向き合う時間を増やして、他社が持っていない情報を持つことを心がけています。

この強く、正直な欲求(無駄な時間を極力無くす)が、システムの開発者にとっては次世代の採用システムを開発するには絶好の情報となっています。

「御社のシステムは魅力的ではあるが、もしも例えばこういう機能があれば、すぐにでも導入したいのだが」とか、「購入のための価格設定をこういう風に変えてくれれば会社に相談しやすいのだが」といったような声を聴かれたことはないでしょうか?

こういうありがたい市場の声が弊社を含めてシステムを提供する会社に届いてくるわけです。

このような声が開発者に届くことで、新しいプログラムが生まれ、そして新しい商品が誕生するわけです。

また時には、大手企業の人事採用担当者よりも人材紹介会社のほうが採用市場における技術革新により影響があるのでしょうか?と尋ねることもあります。

大企業の人事担当者というのは、人事に関連する社内のサポート的な役割を担っており、実際に大量の候補者の履歴情報から一つ一つ履歴書を見て、そのポジションにより適合する候補者を見つけ出す作業というのは人材紹介会社が行っているわけです。

すべての人材紹介会社は365日、24時間、良い候補者を提案することだけを考えていると言っても過言ではありません。

さらに言えば企業の人事採用担当者は、ある特定の範囲の候補者だけを見ていれば良いのですが、人材紹介会社のコンサルタントはもっと広範に様々な分野の人材にまで目を向けないといけない、ということもあります。

また経営陣によって管理される予算に関して言えば、人材紹介会社は事業遂行上、重要であるということで、最新の技術を取り込む予算をたいていは持っていますが、かたや企業人事は採用以外に例えば教育、トレーニング、リテンションプログラムや最近流行りのワークライフバランス基金など様々なコストがかかる上に、社内的にはコストセンターという目で見られるので、そもそも与えられる予算が非常に小さいことが一般的です。

インターネットが普及したことで、より誰もが候補者を見つけやすくなったという現象は間違いなく起きており、その影響で人材紹介者は以前にも増してより仕事量を増やしています。 わずか数年前には考えもできませんでしたが、今や企業人事は人材紹介会社を通さずに多くの候補者とつながったり、また逆に候補者が企業人事につながる、ということが可能となりました。そしてまだ何百万という候補者となりうる予備軍がオンラインの向こうには待機しています。

つまりは、転職の可能性がある候補者を探し、そしてフィルターにかけるというサービスは、方法はInternetであろうがなかろうが引き続きとても価値があるということです。

したがって採用関連システムを手掛けるIT企業は人材紹介会社の声にもとお耳を傾けるべきでしょう。 この業界が大きく変わっていく中でこれまで以上に重い責任があるのですから。